COLUMN03コラム03
「自然の摂理に従う生命活動で地域の価値を創出する」(松下生活研究所LLC.)
松下生活研究所LLCとは
「生活」とは、衣食住や経済活動など日々の営みのことを言います。
私たちは、その日々の営みの中に、意味を見いだす役割を果たしたいと考えています。
「生活」の対象となる人や社会、地球は、有機的な繋がりの中にあります。
私たちは、その生活を喜びや悲しみなど、現実社会の中でどのように生きて、どのような幸せをつくるのか、絶えず、精神的、哲学的な問いに向き合っています。
暮らしや環境、組織やおカネ、情報などを構造的に捉え直し、建築や地域づくりに活かすよう、より良い社会のあり方を探求して参ります。
気持ちよい家づくりへ
約30年前、森林破壊の実態を見にマレーシアサラワクに行きました。
ペナン港からボートに乗り現地に向かう途中で、次から次に数多くの巨大な丸太を積んだ木材運搬船が下流に向かうのを見ました。
船積みの木材土場で見た多くの丸太の径は、同行した仲間の身長175cmと同程度だったのを覚えています。
木材伐採のために雇用され森の長屋に住んでいた現地住民の方々は、森を自ら破壊した結果、川が濁り魚は取れなくなり、小動物がいなくなったと嘆いていました。
その森林破壊された木材の多くが日本へ輸入されていました。私たちは、サラワクの森林破壊の悲惨な一部しか見ることはできませんでしたが、私は、帰国して、以前は何も感じていなかった日本の森林の豊かさと現地で起こっている森林破壊との差に憤りを覚えました。
見ただけでは済まされないと、その後、ずっと国内地場産材の産直住宅の仕組づくりや木の家をつくることにこだわってきました。
それに伴い、森林問題から山に住む人々の暮らし、集落再生、古民家再生。都市部でのシックハウス、健康な家づくり、コミュニティづくり(エコ・コミューン山ノ神など)。そして13年前に落し込み板壁構法(板倉づくり)にたどり着きました。
外材に頼らず、地元の木を使うことは森林の荒れを防ぎ、地域の暮らしを豊かにします。
豊富な日本の森林を使うこの構法は在来工法に比べて、木材を約3倍以上も使用する頑丈な気持ちよい家です。
以前より増して森林破壊は進み、サラワク州や世界の森林は見る影もなく、気候変動を招く原因になっています。私たちにできる一つに、目の前の家づくりと世界が繋がっていることを考慮することです。
家づくりは森づくりであり、この空気と繋がり、人が活き活きと暮らせる場、世界や自分と繋がるコミュニティ(関係の場)をつくることが解決の方法ではないかと思います。
住まいは健康な場であり、何にも増して、人の生き方を表せる気持ちよい家づくりをしたいと思っています。
松下生活研究所LLC.
代表 松下 修
URL https://msk1985.social/